オーナー「はぁ」
立石賢司「おや、表情が暗いですねオーナー」
オーナー「実は客足が思うように増えなくて……。何かアドバイスいただけませんか?」
立石賢司「新店だし、焦りは禁物ですよ。でも折角なので、ちょっと見ていて気になったことをお伝えしますね」
オーナー「お願いします!」
立石賢司「あるスタッフがお客様が着席された時『今日はどうされますか?』って尋ねていたんです」
オーナー「それが何か?」
立石賢司「オーナーはいつもどんな感じでお声がけしますか?」
オーナー「僕も『今日はどうされましたか?』って……」
立石賢司「全然違うんですよオーナーとスタッフの問いかけは」
オーナー「ええ?」
立石賢司「『今日はどうされますか?』と『今日はどうされましたか?』では天と地ほどの違いがあるんです」
オーナー「ぜひ詳しく教えてください」
立石賢司「『どうされますか?』と訊かれたお客様は、何をどうしてほしいのか、1から10まで語らなくてはいけないですよね?」
オーナー「はい」
立石賢司「これってお客様には結構ハードルが高い。お客様はプロを相手に間違ったことを言ったら恥ずかしいし、うまく言う自信がなくて『お任せします』と下を向いてしまうかもしれません」
オーナー「ああ、確かにそうですね」
立石賢司「でもオーナーの『どうされましたか?』は、お客様の“状態”をたずねているから、お客様は最低限今の自分の髪の状態を話せばいい」
オーナー「そこから会話で髪型を決めますからね……」
立石賢司「そこです!それ!」
オーナー「えっ」
立石賢司「この問いかけは基本、美容師との会話に繋がるんです」
オーナー「はぁ」
立石賢司「たとえば、お医者様は『今日はどうされましたか?』と訊きませんか?」
オーナー「ええ、確かに」
立石賢司「もしそれが『今日はどうされますか?』だと困りませんか?“プロ”になんとかして欲しくて来ているわけですから」
オーナー「ああ、確かにそうだ」
立石賢司「お客様が自分のしてほしいことを的確に伝えれば問題はないんですけど、“新規”でそれが出来る人は少ないかもしれません」
オーナー「美容室って緊張しますもんね」
立石賢司「そう。僕たちでも緊張するでしょう?お客様の負担を少しでも軽くしてあげないと。それが会話なんです」
オーナー「はい」
立石賢司「ぜひスタッフの皆さんに浸透させてみてください」
オーナー「ありがとうございます!早速、ミーティングするか!」
立石賢司「その意気!頑張ってくださいね!」
